断片的な
杭
深い深い湖のわたしが何者でもなく何もかもである場所から来るは母なる者母なる者母なる者のその面影が愛している愛しているって排水溝みたいに愛している欲しい欲しいあげないあげないから
無題
今きみをしった, だれ?しらないほうがいいわ、
だって。
今までも ずっと そうしてきたじゃない
これからも, わたしはきみを知らない
夢。柔らかに、
君の甘やかなる肌よ
月を受けて宵闇を照らせ
黒き繻子を燻らし惑わし
薔薇と眠る少女を癒やせ
首ヲ
あの男はどういうふうに、
濡れた花
あなたの置き忘れていった口紅が
はじめて、花をつけたのよ
水もやらずに五十年も放っておいたのに
いまになって。
ひどく薫って仕方がないから
今日の午後、取りに来て頂戴
断片
ゆっくりと引かれる地平線
ひんやりとした刃の灼熱感
あなたが叶えてくれたこの温もりも
首筋を伝う液体と共にすべて流れ出し
もう間もなく、消えてしまいそうです。
ああ、今更になって、
わたしが求めていたものが
死では無かったと気が付くなんて、
あなたの浅い呼吸が耳を掠める。
ねえ、わたし、
いま、あなたがどんな顔をしているのか
振り返って、見たいわ
それと、やっぱりわたし
あなたの子どもが欲しいわ、
ねえ。
意識よ、まだ途切れるな、
かいばみ
お部屋は暗くしておいて
あなたの姿が見えぬように、
ことばはうつろにしておいて
あなたのすべてがわからぬように、
行き場をなくした恋と信仰
その矛先にちょうどいい
わけのわからない
あなたでいて
或いは、わたしが目を瞑ろうか
無題
暴力も被暴力も
死へと向かい死へと向かわしめる
あまりにも拙い同化作用
ああ そのもどかしいまでの
拙さ、恋しや。
子宮こそ暴力の奴隷なり、